阪急梅田から北へ歩いて、この古書街にさしかかって、まず初めに出会うのは、中尾書店である。心斎橋などで、肉筆本や版画浮世絵などを手広く扱うと聞くが、私にとってはあまり縁のない書店である。この梅田店は、大衆的な店の作りで、それに釣られて、ついつい入ってしまうのであるが、今までに欲しいと思う本に出合ったことがない謎の書店である(あくまでも私にとってはのことであるが……)。北隣の「リーチ」、その向かいの中尾松泉堂(船場)、紀伊國屋にも、関心領域が異なるためほとんど立ち入ったことがないが、わかる人にはわかる店なのかもしれない。
稀珍堂は、一般的な品揃えが充実しており、必ず立ちよる店である。名前とは異なり、稀覯本、珍奇な本は特に見あたらないが、コンピュータ関連の本など意外と多い。いつも立ち寄るのであるから、いろいろ買っているはずであるが、取り立てて思い出せない。それでも、記録を探せば、旅行記や思想書など購入したことがあるようで、例えば最近では、『これもドイツだ 犬と放浪2500キロ』三修社1984(\1300→\900)や『人間にはいくつの真理が必要か』法政大学出版局1992(\2266→\1700)といったものを購入している模様である。値段的には、高くもなく、安くもないが、品物の回転が早いので、毎回書棚に立ち止まって見てしまうのかもしれない。
上崎書店、間島一雄書店は、いつも店内を素通りすることの多い店であるが、間島では、『コンサイス20世紀の思想事典』三省堂(\4300→\3500)を購入できたのは収穫であった。この本が出たのは、1992年3月のことであるが、当時新刊で買おうかどうかと迷っていたところ、その年の9月に古書として購入できたのであった。今では、この本、かなりの量が古書店に出まわっていて、値段にもばらつきがあるが、2割引であるから標準的なところであろうか……。
北↑(中津:梁山泊本店などへ) || 加藤京文堂(近代文学/美術) 杉本梁江堂 || 梁山泊(社会科学/人文科学他全般) 萬字屋(全般) || 藤沢書店(日本史/仏教系) || 間島一雄書店(全般) マルコポーロ(洋古書)|| 上崎書店(全般) 東 アルカード(美術) || 稀珍堂(全般) → || 紀伊國屋(新刊コミック) リーチ(美術) || 中尾松泉堂(古典籍) 中尾書店(全般) || 南↓(阪急梅田駅)萬字屋は、阪神百貨店地下街で手広く商う店であるが、こちらの支店の特徴はまだつかめていない。確か去年か一昨年まで、ここには、ムラタ書店という雑誌などを山積みにした書店があり、胃腸の悪そうなおばさんが陰気に店番をしていたが、いつの間にか潰れてしまったのだろうか。向かいの藤沢書店には、一般書はなく、日本史や仏教関係の箱に入った専門書を中心としているので、畑違いの私とは無縁である。その手の分野に関心のある人にとっては、かなりの品揃えではないかと思われる。
隣の梁山泊は、社会科学系を中心に、思想や教育などを扱うが、一般的な本もあり、馴染みやすい。社会運動系のミニコミ誌などは、委託販売なのであろうか、関西では珍しい気がしている。古い古書店地図には、向かいの東梅田ビルに本店があると出ているが、今では中津に新しくて広い本店があり、とても入りやすい。2万冊の品揃えという言葉に違わず、とても充実している。哲学や心理、文学という従来のカテゴリーによる書架も充実しているし、「伝記」のコーナーには無数の本がある。別の機会に詳しくレポートしたい書店である。
加藤京文堂は、現在、杉本梁江堂が入っているところに店を出していたが、最近向かいに移転した模様で、新しく画廊のコーナーなども設けられた。小説の初版本や美術関係が専門のようだが、一般書や新刊辞書の安売りコーナーもある。時々立ち寄り、高階秀爾『カラー版 西洋美術史』美術出版社1990(\1900→\1500)などを購入した記録が残っている。杉本梁江堂は、開店したばかりでよく知らないが、大阪駅前第三ビル地下の店の方では、一般的な文庫本などを購入した記憶がある。
(続く:未完)
96/8/29