「古書店散策記」(大阪:梅田編)


古書店散策記 大阪梅田阪急古書のまち

 大阪の古書店といえば、まっさきに阪急梅田の古書の街を思い浮かべてしまうのだが、その歴史は意外と浅く、1975年頃からという。私が古書店に出入りするようになったのは、1982年頃からのことであるので、もう既に出来あがったイメージを持っていたのかもしれない。阪急の定期を利用していた頃は、梅田が通過地点であったこともあり、しばしばこの古書街などを散策したのであるが、現在では京阪電車を利用するようになり、所用ついでに1〜2ヶ月に一度、訪れるか訪れないかという程度である。少しづつではあるが、店舗構成に若干の変動があり、今回それをまとめてみたい。

 阪急梅田から北へ歩いて、この古書街にさしかかって、まず初めに出会うのは、中尾書店である。心斎橋などで、肉筆本や版画浮世絵などを手広く扱うと聞くが、私にとってはあまり縁のない書店である。この梅田店は、大衆的な店の作りで、それに釣られて、ついつい入ってしまうのであるが、今までに欲しいと思う本に出合ったことがない謎の書店である(あくまでも私にとってはのことであるが……)。北隣の「リーチ」、その向かいの中尾松泉堂(船場)、紀伊國屋にも、関心領域が異なるためほとんど立ち入ったことがないが、わかる人にはわかる店なのかもしれない。

 稀珍堂は、一般的な品揃えが充実しており、必ず立ちよる店である。名前とは異なり、稀覯本、珍奇な本は特に見あたらないが、コンピュータ関連の本など意外と多い。いつも立ち寄るのであるから、いろいろ買っているはずであるが、取り立てて思い出せない。それでも、記録を探せば、旅行記や思想書など購入したことがあるようで、例えば最近では、『これもドイツだ 犬と放浪2500キロ』三修社1984(\1300→\900)や『人間にはいくつの真理が必要か』法政大学出版局1992(\2266→\1700)といったものを購入している模様である。値段的には、高くもなく、安くもないが、品物の回転が早いので、毎回書棚に立ち止まって見てしまうのかもしれない。

 上崎書店間島一雄書店は、いつも店内を素通りすることの多い店であるが、間島では、『コンサイス20世紀の思想事典』三省堂(\4300→\3500)を購入できたのは収穫であった。この本が出たのは、1992年3月のことであるが、当時新刊で買おうかどうかと迷っていたところ、その年の9月に古書として購入できたのであった。今では、この本、かなりの量が古書店に出まわっていて、値段にもばらつきがあるが、2割引であるから標準的なところであろうか……。


              北↑(中津:梁山泊本店などへ)
 
             || 加藤京文堂(近代文学/美術)
   杉本梁江堂     || 梁山泊(社会科学/人文科学他全般)
   萬字屋(全般)    || 藤沢書店(日本史/仏教系)
             || 間島一雄書店(全般)
   マルコポーロ(洋古書)|| 上崎書店(全般)                       東
   アルカード(美術)  || 稀珍堂(全般)                            →
             || 紀伊國屋(新刊コミック)
   リーチ(美術)    || 中尾松泉堂(古典籍)
   中尾書店(全般)   || 

             南↓(阪急梅田駅)  
 
 萬字屋は、阪神百貨店地下街で手広く商う店であるが、こちらの支店の特徴はまだつかめていない。確か去年か一昨年まで、ここには、ムラタ書店という雑誌などを山積みにした書店があり、胃腸の悪そうなおばさんが陰気に店番をしていたが、いつの間にか潰れてしまったのだろうか。向かいの藤沢書店には、一般書はなく、日本史や仏教関係の箱に入った専門書を中心としているので、畑違いの私とは無縁である。その手の分野に関心のある人にとっては、かなりの品揃えではないかと思われる。

 隣の梁山泊は、社会科学系を中心に、思想や教育などを扱うが、一般的な本もあり、馴染みやすい。社会運動系のミニコミ誌などは、委託販売なのであろうか、関西では珍しい気がしている。古い古書店地図には、向かいの東梅田ビルに本店があると出ているが、今では中津に新しくて広い本店があり、とても入りやすい。2万冊の品揃えという言葉に違わず、とても充実している。哲学や心理、文学という従来のカテゴリーによる書架も充実しているし、「伝記」のコーナーには無数の本がある。別の機会に詳しくレポートしたい書店である。

 加藤京文堂は、現在、杉本梁江堂が入っているところに店を出していたが、最近向かいに移転した模様で、新しく画廊のコーナーなども設けられた。小説の初版本や美術関係が専門のようだが、一般書や新刊辞書の安売りコーナーもある。時々立ち寄り、高階秀爾『カラー版 西洋美術史』美術出版社1990(\1900→\1500)などを購入した記録が残っている。杉本梁江堂は、開店したばかりでよく知らないが、大阪駅前第三ビル地下の店の方では、一般的な文庫本などを購入した記憶がある。

(続く:未完)

96/8/29


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