奥の細道
荒海や佐渡によこたふ天河
いつのことだったか、浜辺に出て、漆黒の海を眺めたことがある。
人影のない海岸は、風の音と、打ち寄せる波の音ばかりが響いている。
その時は、天の川は見えなかったが、そこにはやはり閑けさがあった。

天の川と言えば、その星々の明るさとても驚いたことがある。
まず思い浮かぶのは、アメリカでのこと。
夜行バスに乗っていたのであるが、バスが故障してしまって、
ちょうど砂漠の真ん中のような所で、バスを降ろされてしまったのである。
ただ一直線の道路が続くだけで、明かりなど何もなく、まわりは漆黒の闇である。
そこには、蛍が飛び交い、空には落ちてくるかのような天の川。

メキシコ系乗客の話すスペイン語の喧噪が、
岩にしみいる蝉の声のごとくに静寂を深めていた。
おそらく荒波の打ち寄せる音や、荒海に吹きすさぶ風の音も、
魂を静寂へと導いたのかもしれない。
あの天の川の明るさは、銀河鉄道の軌道を思わせるのである。


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