京都の古書店・名古屋の古書店  by LZFR 


216 [96/10/13 00:56] VEB02220 京都の古書店1 LZFR

 先日、京都と名古屋に行く機会があったので、全国古本屋地図を片手に古書店を廻って来ました。前回の札幌篇が好評(?)だったので、京都篇と名古屋篇もやってみます。

 先ず、散人さんの本拠地である京都から。最初は、キクオ書店から。行く前は、洋書ばかりかと思っていたら、店内には洋書は余りありませんでした。民俗学や考古学書が多かったような気がします。散人さんがこの店の目録について言及されていたので、是非見てみたいと思っていたら、店内に閲覧用の目録が紐で吊るしてありました。それを見ると、値段、内容共に凄い本ばかり載っています。植物図鑑やビアズリーなどの挿絵本、19世紀のファッション雑誌からパピルスやヴェラム等の片葉、オルゴールまで載っていて、見ているだけで楽しいです。しかし、どの本も極めて高価で私には一生縁の無さそうな本ばかりです。中世の写本に750万円という値がついているのを見て、私のような庶民には本物の写本は届かぬものと再認識しました。結局、キクオ書店ではカタログ1600円で購入しただけで店を後にしました。

 さて、次はアスタルテ書房。ドアを開けて店に入ると正面には大きな金子國義のリトグラフが飾ってありました。店の中には他にも様々な幻想系の画家のリトグラフが売っていました。棚に並んでいるのは、澁澤的な幻想的、耽美的な本ばかりで、世の中にはこの手の本がこれほど膨大な種類があるのかと思い、目眩がしました。「血と薔薇」も始めて目にしました。しかし、どの棚にも私の好みの本がビッシリ並んでいたのでの、いったい何処から見たらよいのかと混乱し、ただ痴呆のように店内をウロウロするばかり。しかも、どの本もかなりのプレミアがついているので、私には高値の花ばかりでした。私が450円で買った角川文庫のバタイユの「マダム・エドワルダ」が、金子國義のサイン入りとは言え5000円もする程なので私が買えるような廉価な本は殆どなく自らの貧乏を呪いながら何も買わず店をスゴスゴと出ました。

 文苑堂は書道の本ばかりで、文華堂も特に興味を引かれるものも無く、すぐに店を出 る。博文堂は、本があちこちに高々と積んである店で、本の重みで棚の板が軋み曲がっ ている程です。棚は乱雑ですが、本を探す気が起きないほどではない程度の乱雑さでし た。しかし、この店でも結局何も買わず仕舞。

 今村書店は、やはり床から高々と本が積まれていましたが、その積み方は整然としていました。しかし、店に入ると人文系の本が豊富にあって、私好みの中世の歴史書や神秘学系統の本も沢山並んでいます。しかし、店に着いたのが遅かったので、それほど本を見れずに店が閉まってしまいました。しかし、美学館の「アルス・アマトリア」と、朝日新聞の書評を読んで欲しいと思っていた森山軍治郎の「ヴァンデ戦争」が早くも売っていたので購入しました。

 二条城近くの京都書院は、新刊と古書の美術書が広い店内に豊富に置いてありました。私は、入口近くに置いてあった一冊500円の海外の美術ペーパーバッグを漁り、「LE TEMP−S DES PIONNIERS」という19世紀半ばに撮られた写真を集めた本と、「PLAYGIRLS VON DAM−ALS」という古いエロティックあポストカードを集めた本、そして古いエロティックな写真を集めた「DAS EROTISCHE IMAGO」の1と2の計4冊を購入しました。

 妙文堂は、学術書も沢山あり、平台にはポルノグラフィーが置いてあったりと面白い書店でした。私は、坂口尚の「レート・ドック」というSF短編集と、一冊480円で売っていた「えろちか」を3冊購入しました。坂口尚のSF短編をまとめて読むのは始めてだったのですが、その画力と詩情を改めて実感しました。仏教的思想をベースにした思想的なSFである「VERSION」とはまた違った魅力がありました。

 エリナー書店は、かなり古い店構えで、店内には様々な本がかなり無造作に置いてあ りました。完全に紙が茶色に変色した本や古い地図や写真などもありました。私は、こ こでは青木信光編の桃園書房の「欧羅巴禁書1マルゲリーテ」という19世紀半ばに書 かれたポルノグラフィーと(これは二見文庫のモダン・エロティク・ギャラリー1「歌姫の告白」と同一の作品でした)バイロス卿やマックス・ブリューニンクの挿絵が美しい二見文庫のモダン・エロティク・ギャラリー「仮面舞踏会の夜」、レズニチェク等の挿絵が載っている「パリ遊戯館」等を購入しました。

 あっぷる書店は、いかにも町の古本屋という感じの店で、様々な本が幅広く安めの値 段で売っていました。佐藤史生のプチ・フラワーの短編集が揃っていたのですが、私の探しているペーパームーン・コミックスの「亡き王女のための孔雀舞」は置いておらず。

 竹岡書店は立命館大学の近くだけあって学生の教科書らしき本が大量に売っていまし た。どうも、人文学系統の本は別の店に置いてあるようで、経済や教育などの私の余り 興味の無い分野の本ばかり置いてあったのですが、新藤健一著の「ビジュアル・イメージの読み方 写真のワナ」等のメディア関係の本を数冊購入しました。

 京都は、さすがに歴史のある大都市だけあって、古書店もたくさんあり、古書店周り の楽しい街だと感じました。古書店を探して歩き回っていても、到るところに寺や古い つくりの家などにぶつかり、過去の無い街である東京に慣れ親しんだ私としては、やは り文化的衝撃がありました。関東者としては、道行く人々が皆、聞き慣れぬ京都弁を話 しているのも新鮮でした。


219 [96/10/13 00:59] VEB02220 名古屋の古書店 LZFR

 京都で本を買い過ぎたので、名古屋の古書店は3軒しか回りませんでした。
 先ずは、地下鉄東山線今池駅近くのABCブックスですが、ここは同人誌の専門店で 今流行りのエヴァンゲリオン等の同人誌が大量にありました。しかし、私は同人誌のこ とは全く知らないので、膨大な同人誌の中から何かを探している少女達の間をすり抜け 店内を一回りして同人誌しかないことを確認するとすぐに店を後にしました。

 次はやはり今池駅近くのカバラ書店。棚の整理のきっちり出来た、本が探しやすく、幅広い分野の本を扱う、近くに一軒あると便利な感じの書店でした。ここでの収穫は、文化出版局の「劇場通りの子供たち −レニングラード・バレエ学校の内幕−」というバレエの本です。同名のドキュメンタリー映画の本にしたものらしく、映画の方も見てみたいです。あのモナコ王妃グレースがナレーションをやっているそうです。他には、吐夢出版から出ている「トゥネガティヴ」という、「危ない一号」のビジュアル版のような雑誌を見つけてしまいました。内容は洒落にならないヤバさで、こんなもの出版して大丈夫なのか?というものです。でも、何を血迷ったか買ってしまいました。そういえば「多賀新全作品集」がこの出版社から出ているようで、欲しいと思ったら値段が39000円でした。

 本山駅から坂を登っていくと左手に竹内書店があります。この店はやはり幅広い分野の本を扱う書店で、学術雑誌が結構置いてあったように思います。私は、ここで中井英夫の書いた平凡社カラー文庫13「薔薇幻視」という本を見つけたのですが、これが実に面白い本で、今回最大の収穫でした。他には、同じ平凡社カラー文庫の「船首像」等を購入しました。帰りは、「薔薇幻視」を読みながら、電車に揺られて数時間を過ごした私でありました。

[注] このレポートは、愛書家ホームパーティのLZFRさんによります。
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