先週の古書店散策 (1996.11 後半) by 散人 


[96/11/26] 先週の古書店散策
 小春日和が続いて、ついつい外出したくなる今日この頃ですが、先週は、色々雑事も多くて、古書店散策はほとんどできない一週間でした。

 月曜日、コミックショック河原町今出川店。同チェーン出町店から自転車で5分と離れていませんが、最近オープンした模様。店の入り口と店の奥には、それぞれ別々のFMラジオを流しており、とてつもなくやかましいので、耳栓を持参したほうが良いかもしれません。店の規模は、BOOK OFF並みに大きく、漫画以外にも、単行本、文庫本などもありますが、収穫はなし。ただ、漫画シリーズ本の買い取り価格一覧というのが表示してあり、赤塚不二夫「天才バカボン」全22冊(おそらく講談社本)で、2500円とのこと。プレミアム本として売っている店がありましたが、マニアにとっては、そんなに貴重なシリーズでもないのでしょうか……。私にとっては、「宇宙戦艦大和」とか「巨人の星」などはタダでもいりませんが、「天才バカボン」シリーズ(昭和50年台以前発行の美本揃)なら、1万円以上でも欲しいと思うことしきりです。当時の漫画で欲しいと思うのは、あとは《いしいひさいち》のものですが、こちらは当時のものとしては、1979年奇想天外社発行の『おじゃまんが』を1987年6月に信州松本の細田書店にて100円で購入した思い出深い逸品を所有しています。

 水曜日、BOOK OFF大和高田店。久々に大阪柏原市へと車で行った帰り、少し遠回りをして奈良方面の違った道を走って発見しました。国道24号線沿いで大きな駐車場もあり、なかなか流行っています。収穫の方は100円均一で、文庫本単行本をちょうど10冊みつくろって購入。とりたてたものはありませんが、串田孫一『ギリシャ神話』ちくま文庫、解説本として持っていて損はしないと思われます。天野祐吉『また、嘘八百!! 明治編』文春文庫ビジュアル版、明治時代の新聞広告の寄せ集め。なかなか楽しめる一冊です。以前、図書館で明治〜の新聞マイクロフィルムを見るのに凝っていたことがありましたが、まさにその世界です。面白いものだけを編集した本ですが、やはり現物(当時の新聞マイクロフィルム)の面白さにはかなわない気がします。木曜日、新刊書店にて立ち読みのみ。音楽のうるさい中型店舗でした。

 金曜日、大阪府立図書館へ。東大阪市に移転統合後、場所的にはとても不便になりましたが、コンピュータ検索システムの導入により、使い勝手がとても向上しました。かなりの蔵書が登録されており、(ひょっとすると、全蔵書の登録が終わったのかもしれませんが)、とても容易に本を探すことが出来ますし、曖昧検索も出来るので、新たな発見もあったりします。蔵書数では国会図書館の足もとにも及びませんが、システムの使い易さでは、互角でかなりいい線を行っていると思います。関西の大学図書館で見かけることの多いF士通のOPACなど、私にとっては相性が悪いのか、とても使いにくくて仕方がありませんが、雲泥の差とはこのことです。
 色々な大学図書館と比べれば、蔵書数にしたところで、分野にもよるのでしょうが、日本語文献に関しては、たいして遜色がないと思われます。それに、大学図書館の場合、部外者にとっては許可を得るのが面倒なことがありますし、いくら蔵書数が多くても、多くは部局主義というのか、学部の図書館、学科の図書室、講座の資料室……と、本が分散していることが多くて、あちこちたらい回しされることもあり、なかなか上手い具合に使えないことが多いように思われます。その上、大阪府立図書館の場合、閉架式書庫の本であっても、一部を除いて、3週間の貸し出しサービスがあるのも嬉しい限りです。さらに、そのサービスも、大阪府民に限られず、通勤通学の有無にかかわらず、ひろく関西一円の住民に開かれているというのも嬉しい限りです。大阪府立図書館に限らず、最近、図書館員の態度もよくなり、不愉快な思いをすることもずいぶん減ってきたように思いますし、ますますの発展を期待したい気がしています。


[96/12/03] 先週の古書店散策
 一昨日、京都ではついに初雪が降り、我が屋の庭も雪化粧。雀やメジロが餌を求めて、たくさん飛来してきています。先週は、前半は温暖、後半は一変して寒波襲来となりましたが、まれに見る収穫の多い一週間となりました。

 火曜日、小春日よりの中、久々に京都洛北、丸万書店から散策開始。毎日、自転車でこの近くを走りながら、急いでいたり、夜遅い時が多いので、滅多に立ち寄ることはなくなっています。前回来たのはいつだったのか、もうすでに忘れてしまいましたが、新たに入荷したものなど、色々目につきます。店主は、常連風の客と北野天満宮のがらくた市について、愛想よく談笑していましたが、何年前からかとても愛想のいい親爺になったものだとつくづく思われます。とりあえず棚を一巡しましたが、でもまぁいいやという感じで、何も買わずに店を出ました。

 次は吉田文庫。自転車で5分とかかりません。昔から時代劇ファンの老夫婦が店番をされていましたが、今回もやはり時代劇を見ながら店番をされていました。いつになくテレビは大きな音量でしたが、後から聞けばすっかり耳が遠くなってしまったとのこと。月日の流れを感じます。やかましい流行音楽が流れているより、「お奉行様、お助けを〜」という時代劇のセリフの方が好感が持てますが、やはり物事には限度というものがあるのかもしれません。久々に見る書架には、新しいものがかなり入っています。あれもこれもという感じで、どんどん欲しいものが見つかります。おそらく同一人物の蔵書処分品なのかもしれませんが、いろいろ吟味して選ぶと、ちょうど10冊になりました。
 大別すれば、自殺関連のものとオウム関連のものですが、新たな収穫といえましょう。例えば、クロード・ギヨン他『自殺 もっとも安楽に死ねる方法』1983徳間書店(\1500→\1000)。鶴見済『完全自殺マニュアル』は1993年ですから、そのフランス版というよりも、こちらの方が古く、その祖型となったものかもしれません。その他、ショーペンハウアー『自殺について』岩波文庫(\210→\150)、ピッケン『日本人の自殺』サイマル出版会(\2100→\1300)など。また、オウム関連では、橋爪大三郎他『オウムと近代国家』南風社(\1500→\800)、吉本隆明他『宗教最後のすがた』春秋社(\1700→\800)、麻原彰晃『マハーヤーナ・スートラ』オウム出版(\3000→\1000)なども購入しました。支払いは、10冊で合計9320円のところを9000円にまけてくれました。以前から、こういう端数をまけてくれますが、少し嬉しい気がします。
 この吉田文庫は、丸万書店とならんで、私が高校時代によく訪れた書店ですが、最近は滅多に立ち寄ることが少なくなっています。たとえ立ち寄ったとしても、店を一巡しただけで何も買わないことが多いのですが、今回のように、欲しい本がある時は、多量に出ていて選ぶのに苦労することが多いように思います。蔵書データベースを検索してみると、今回の買い物は、去年の4月に若干の買い物をして以来のことのようです。蔵書データベースは、現在も構築中で登録件数などまだまだ完全ではないのですが、吉田文庫で購入した書籍を検索すれば、1984年は1冊、1985年は2冊、1987年4冊、1990年12冊、1991年1冊、1994年3冊、1995年2冊で、購入代金は総計10750円という結果が出ました。高校時代(1984年以前)のものについては、未登録なものが多いのですが、思っているほど購入していないのかもしれません。

 吉田文庫の東には、やはり自転車ですぐのところに、西北書店という古書店があり、高校時代には度々訪れていたのですが、いつの間にか岡崎方面へ移転してしまいました。そして、店は閉じられたままになっていたのですが、今回前を通ると、再び当地にて営業を再開していました。いちおうどんなものなのか見てみたい気がしたのですが、吉田文庫で買った本がかさばりましたので、今回はパスすることとなりました。

 水曜日、大阪。久々に近鉄上本町で下車して、天地書房。近鉄百貨店前に少し離れて二件ありますが、まずは大きいほうの店へ。かなりレベルの高い品揃えで、品数も豊富、しかも値段もかなり勉強している店ですが、今回は、“Peake's Commentary on the Bible”というハードカバーの聖書解説本を1500円、英訳新約聖書500円の2冊。専門外で、いったいどういう本なのかもう一つわかっていませんが、かなり詳しい本なので、それなりの収穫であったような気がしています。もう一軒の方では、岩波『荷風全集』29冊揃18000円。月報はなく、1-28巻は昭和39年版、29巻のみ昭和49年版という変則的なものでしたが、荷風関連の全集に関しては、昭和24年中央公論社版のものしか持っていないので、値段も値段なので購入することにしました。次回は、何年か後に1994年岩波版を購入したいものです。

 金曜日、丸善京都店洋書そるど市。フリードリヒの荒涼とした絵が表紙となったニーチェの英訳アンソロジー“A NIETZSCHE READER”(US$10.95→\900)など、PENGUIN CLASSICSシリーズ3冊、聖書関連2冊、PUFFIN BOOKで“WINNIE-THE-POOH”(クマのプーさん)の計6冊、2987円でした。売れ残り新刊本ですが、現地で直接仕入れるよりも、安くで購入出来たのは嬉しい限りです。

 土曜日には、天地書房で買った『荷風全集』が宅配便にて到着。早速開封してならべてみました。なんかとても収穫の多い一週間となりました。データベースへの蔵書登録は滞っていますが、これもまた楽しみの一つです。


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