先週の古書店散策 (1996年12月 前半) by 散人 


[96/12/10] 先週の古書店散策
 ついに師走となり、街は慌ただしさを増していますが、先週は、古書店をまわるこ とも少なく、収穫の少ない一週間だったようです。

 火曜日、京阪電車滝井、関西医大病院前にて、古書店発見。名前は忘れてしまいま したが、新しい古書店でした。個人経営の「町の古書店」という店の造りでしたが、 入っている本は、BOOK OFFなどに似ていす。購入しようかと迷った本もあったのです が、今回は何も買わずにそのまま店を出ることにしました。

 水曜日、大阪府立図書館。うっかりしていたのですが、移転統合後、閉館時間が9 時から7時に変更になったようで、少々時間切れとなってしまいました。そのまま帰 宅するのも何なので、長田まで歩き、地下鉄で大阪市内へ。某所のビデオ屋さん。初 めての訪問でしたので、電話にて場所を確認。マンションの一室で、サラリーマン風 の先客がありました。その場で試写も出来、基本は8本で1万円、あと若干高くなるも のもあるとのこと。う〜ん。これも大阪らしいのかもしれませんねぇ〜。(^^ゞ

 金曜日、岡崎の京都府立図書館。参考業務を依頼すると、久々に超傲慢館員に遭遇 しました。あちらも喧嘩ごしなので、こちらもついつい声を荒げてしまいしたが、ア フターケアが悪ければ、館長及び府当局への投書ものでしょうな。最近、他府県では、 とても親しみやすい図書館の運営に遭遇することがよくありますが、京都の図書館の サービスは、10年以上遅れているのでしょう。以前、大阪府立中之島図書館でも、こ ういう傲慢館員に何度か遭遇しましたが、最近はめっきり減少しているようにも思わ れます。ROMの方で、図書館関係者であると自己紹介してくださった方が何人かお られましたが、どんなものなのでしょうかねぇ〜。来館者に愛想を振りまく必要はな いにしても、あまりにも傲慢な対応だと、結局は人が寄りつかなくなって、開かれた 図書館としての行政サービスの意味もなくなる気がするのですが……。

 帰りには、二条通りの古書店。北大路の西北書店がこちらに移転後、いつのまにか 古書店が3軒になっています。各店を散策。新しく出来た中井書店では、棚を一巡す ると、大量のオウム関連図書を発見。先週は吉田文庫で、オウム関連若干購入しまし たが、今回は7冊ばかり選んでみました。吉田文庫では、定価の半値程度の売り値で したが、こちらは一律300円。100円均一だと、全部欲しいところですが、今回も大手 新聞社などのジャーナリスティックに事実関連をまとめたものは除外し、マイナーな 評論など、面白そうなのを選んでみました。この中井書店、新しい古書店ですが、か なりの品揃えで、かなり本に詳しいご主人ではないかと思われました。

 土曜日、近くのホームセンターへ。新聞のチラシでチェックした本棚の安売り。高 さ180cm、幅86cmの木製の組み立て式、4980円でした。色々な種類の本棚を買っていま すが、このサイズの本棚は、これで8つ目となりました。これが一番手軽なサイズだ と思うのですが、スチールのもが黒色4つ白色3つ、そして今回の木製本棚。その他の サイズのものもあって、既に足の踏み場はなく、部屋の統一性はなくなり、廊下や他 の部屋へとどんどん侵食していっています。客観的に見ればたいした所蔵図書ではな くても、どれもそれなりに愛着があるものが多く、なかなか、まとめて売り飛ばして しまう決心がつかずにいます。そのうちに、家全体が倉庫のようになってしまうかも しれません。


[96/12/13] 先週の古書店散策(拾遺)
 「先週の古書店散策」に書き忘れたことを思い出しました。その拾遺です。
 その1。先々週の金曜日に引き続いて、丸善そるど市へ。落ち穂拾いという訳です が、買い足そうと思っていた本はすべて売り切れ、平台や書架はかなりがら空き状態 となっていました。特に欲しかったのは、金曜日に買ったPENGUIN CLASSICSシリーズ、 ニーチェの英訳アンソロジー“A NIETZSCHE READER”(US$10.95→\900)なのですが、 家に帰って、この本を眺めていると、知人への贈答用にあと一冊欲しくなってきたの でした。私は、本の装丁へのこだわりは少ない方なのですが、この本は、フリードリ ヒ Caspar David Friedrich の荒涼とした山の風景画が表紙となっており、こころ引 かれます。それは、「霧のかかるリーゼンゲビルゲ Riesengebirgslandschaft mit aufsteigendem Nebel」の一部なのですが、手前の暗い斜面には一本の枯れ木、中景 の谷あいからは朝霧が立ち昇り、遠方には柔らかい朝日を浴びた山……、彼岸なる理 想郷への憧憬を描いたものなのでしょうか……。フリードリヒとニーチェは、ともに ドイツロマン主義というカテゴリーをあてはめることが出来ても、宗教性の色が濃い フリードリヒと、背後世界を認めないニーチェの思想とは大きく異なるとの意見もあ りますが、やはりどこか類縁性も感じます。永遠の命を得るためには、死に身を委ね ねばならないというフリードリヒの思想は、彼の描く枯れ木や廃墟、墓場といったも ののみならず、荒涼とした山や海、森……、そしてそこに現れる光や霧、どれも彼岸 の世界への誘いがあり、例えば、ツァラトゥストラの孤高の叫びと通じるものを感じ るのでしょうか……。それはともかく、丸善そるど市の落ち穂拾いは、残念ながら収 穫なしということで終わりました。

 その2。鴨川荒神橋のヨルダン社。最近、旧約聖書の創世紀解釈に興味を持ち、色 々文献にあたっているのですが、そういうこともあって、キリスト教専門書店に寄っ てみました。今回は、店内を拝見させてもらっただけでしたが、落ち着いた雰囲気の いい店のように思われました。


[96/12/19] 先週の古書店散策
 ここ最近、多忙モードが続いておりまして、今回は簡略版「先週の古書店散策」と いたします。
 まずは月曜日。夕方、大阪府立図書館へ。閉館時間の19時前であるのに、どういう 訳か図書館は電気も消えてひっそり。月末閉館日でもないのに、どうしたものかと、 案内表示を見れば、月曜休館日とのこと。移転統合後、閉館日も変わっていたのでし た。せっかく行ったのに、とんだ失敗です。帰りは、萱島行きのバスに初めて乗車。 赤井、江端、岸和田、といった水に因んだ地名が多い路線です。車窓の交通案内を見 ても、寝屋川、鴻池新田、深野……という表示を見かけますが、河内という旧国名に もあるように、川や水に因んだ土地が多いのでしょう。聞くところによると、江戸時 代以前は、大和川がこちらに流れて、水害を起こしていたそうですが、「萱島」もま さにカヤの茂るデルタ地帯だったのかもしれません。バスは渋滞にまきこまれて、萱 島まで小一時間。京阪電車萱島駅前にて、新しいタイプの古書店「BOOK TURN」という 店へ。確か以前に来たことが一度あります。その時は、どうしてこの駅で途中下車の か定かではありませんが……。店内は、BOOK OFFに似ていますが、お楽しみの百円均 一コーナーはありません。一冊、買おうかどうか迷った旅行記の単行本がありました が、定価の半額で千円ほど。迷った末に、結局買わずに店を出ました。

 金曜日。京都北白川の文庫堂。久々に訪れました。こちらに移転してきて、まだ10 年になっていないと思いますが、美術系、文学、思想その他、わりと充実した品揃え です。『古書通信』の目録販売でも見かけます。値段は安い方ではないので、購入す ることは少ないのですが、今回は心引かれたものもあり、珍しく買い物しました。

 まず目を引いたのは、『遊民の検証−−亀山巌八十の記念』(?→\300)という文庫。 名古屋の文芸同人誌の別冊本のようですが、この亀山氏、なかなかの風流人のようで、 その人柄にひかれてしまいました。例えば、「自分は本来、この世の者ではない、と いうふうに規定すると、好まないことは拒否する精神が確立出来るはずである」とか、 「ゴルフなどは、そもそも強烈な太陽光線が性に合わないし、芸ごとは時間をかけて の稽古や、人にものを習うという辛抱が出来ないので一切ダメ。それよりも人がやっ ているのを見て無責任な批評をしているほうが気楽だと決めている。ギャンブルは宝 くじをふくめて金や数字の延長になるし、マージャンはハイをかき回したり、つもっ たりする時に腕が疲れる。囲碁将棋は差し手を考えねばならぬうえに、どちらかが勝 ったり負けたりする。その勝負という戦闘的ニュアンスが我慢ならぬほど嫌いだ」と か、どこか私と趣味が合いそうなご老体である。何気ない一冊ですが、出会えてよか ったと思える一冊でした。
 この他、別冊宝島EX『香港○秘読本』(\1250→500)。香港のことが懐かしく思い 出されます。先日、テレビで澤木耕太郎『深夜特急』の再現ドキュメンタリードラマ を放映していましたが、それを見ていて、香港の重慶マンションの風景とか、バンコ クのカオサンロード、マレーシア、シンガポールの安宿とか、懐かしい場面にいくつ も出会いました。最近、そんな旅から遠ざかっていますが、『香港読本』を見て、香 港を思い出しています。なんのあてもない旅に出てみたいものだと思えてきます。
 あと購入したものといえば、『切り裂きジャックの日記』(\2000→1300)、『ジョイ スの世界』(\2500→1800)といったところでしょうか……。


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