私の邂逅した人々 by Oyagi



431  [97/01/29 07:16]  GHF00401      私の邂逅した人々/Oyagi
 頻繁に古書展(店)に顔出ししていますと、見慣れた顔によく出くわすこととなり
ます。しかし、お互いにライバルですから、声をかけあっても、心では・・、の世界、
という話をよく聞きます。また、あの手この手で出し抜く策を弄する様は、紀田氏の
初期の書物随筆で克明に描かれています。おお怖・・・・・。
 小生は「なんとしてでも欲しい!」という世界からは遠い、探書マニアですので、
妙なライバル意識とかは持たないのですが、それだけによく出会う「マニア」の生態
を客観的に見て、ぬぬと考え込んだりもします。そんな、困ったマニアの生態です。
 ○ガラガラおじさん→旅行者が荷物を乗せてガラガラ引く車を持って、古書展や古本
  屋を徘徊する50代のおぢさんです。見た目は紳士然としていますが、本の扱いが
  とにかく乱暴。「初売り」の日の江口書店では、平積みの本をガサガサくずして、
  しかも小生を押し退けようとまでするので、客の小生が怒りかけた位です。
 ○日焼けおぢさん →ガラガラおぢさんの戦友です。フリーマーケットにもこまめに
  顔をだすため日焼けしています。この方の特技は、行列を無視して割り込むこと。
 ○もくもくおぢさん→紺のジャンパーによれよれのズボン姿、よく見かけます。
  背取りで小遣いを稼いでいる人らしいのですが、何回か小生が先に抜きました。
  ごめんなさい。でも福祉団体のバザーに出された本を、古本屋に持ち込むために、
  なんでもかんでも本を抜くのは困るぞ。
あるバザーで、三人が揃い「わっ西遊記の三匹だ(^^;;;)」と唸った小生は悪い奴です。
このHPメンバーの見識や愛書談義の世界の対極には、こんな
収集欲・物欲に凝り固まった、困ったマニアも存在します。


054  [97/03/06 07:25]  GHF00401      私の邂逅した人々2/Oyagi
 以前に掲載した、困った古書マニアの続編です。前回は、主に世田谷区内の古書店や
フリーマーケット会場そして福祉団体主催のバザー会場に現われる極地的な「背どり軍
団」を紹介しました。

 今回は、都内の古書展会場に現われる、メジャーな方々です。
 ◯貧乏神おぢさん→紀田氏の書物随筆でも紹介されていた「古典」的手段を取る方
  です。その作戦とは、臭いこと!(*_*)汗と汚れでレロレロのシャツ・ズボン、
  無精髭、むしゃくしゃの髪、そして半径1mに接近するだけで耐えがたい臭い。
  接近したら、ひゃあ・・と逃げるだけです。冬場は、汚れて穴があちこちにあいた
  ジャンバーが加わります。群馬県から出向いてくるとか、某古書展の常連です。
  収集ジャンルは「?」。棚を見ているだけなのかも知れません。
 ○押し退けおぢさん→この方は、紀田氏の随筆に出ていました。お御足の悪い軽度の
  障害を持つ、神保町から水道橋へ向かう道沿いに、三島本が得意!という店を構え
  る古書店主です。学生時代、神田古書会館ではよく見かけて、かつまたよく押され
  ました。おいおい、やめてよ(*_*;;)<(^_^)..........
  先日、古書会館に行きましたら、おられまして、久しぶりに押されました。
  しかし、髪にはめっきり白いものが、そして押し方も弱く・・・。
  ちょっと寂しくなりましたが、某古書展の目録の出品を見たら、値つけは超強気!
  これだけは変わってません。
  昭和50年頃、岩波文庫「思想の達しうるかぎり B.ショー」に8千円と
  値付けしていましたが、これは「賢者の石 C.ウイルソン 創元文庫」にチラリ
  名前が出ていたためと推察されます。古書店主としては、勉強家であります。
 ○カッパおぢさん→この方はマナーもよく、かつまた買いっぷりも爽やかな方です。
  いわゆる「名著」の美麗本を、古書店の強気価格でも、「ほほ−」といいながら、
  とぽんぽん買われています。ぱちぱち(拍手)
  んが、お顔が河童そっくり(^^;;;;)すみません・・・・。
  列の先頭に、この方がおられて、そして貧乏神おぢさんがこれに続いて立ってい
  ると、古書展会場が何やら魔界のように感じられたりして(^^;;;;)。

  さて今日は・・・何がいる・・もとい、あるかしら?(^_-)

  たぶん「雑書あさり」と呼ばれているOyagi


194  [97/05/14 07:03]  GHF00401      背どりおぢいさん再び/Oyagi
 さらに背どりの人々/Oyagi

 先日UPした「背とりおぢいさん」再びです。

 骨董市の背どりおぢいさんは、和書や明治ものが得意のようです。たとえば、古いつづら
 の中にくしゃくしゃと詰め込まれた和書やら写本から「慶安****」という写本(愚考
 するに、由井正雪らの事件の顛末を書き留めたものであろう)や、「北越軍記(再び考え
 るに、上杉謙信のいくさのことをしるしたものか)など、ぽんぽん抜いて買い求めます。
 値段は、自分の言い値で買っていますが、「現金売買・店なし・その日暮らし」の古物商
 にとっても、利益の出る額らしく、表面上は渋い顔をしていますが、結構嬉しそうです。
 こんな買い方していれば、売るほうも仕入れに気を使い、喜びそうなものを揃えるだろう
 と納得できます。でも「和書」というのは渋い。絵入り本や、将棋・囲碁・華道・茶道な
 ど、趣味以外のものは、まず買う人は、骨董市の客にはいないでしようから。また、素人
 が「背どり」のまねごとをしても、これは売る先に難渋しますもの。つまりライバルなし
 ということですね。この背どり、おぢいさんには。
 実は、たまたま、彼が見ようとした「つづら」を、一足ちがいで小生が見つけ、見ようと
 して、彼と目があったことがあるのです。その時「先にみなよ」と、彼は低くてドスの
 聞いた声で言いまして、なみなみならぬ彼の自信に、わぁーと、思ったことがあります。
 ちなみに小生が買ったのは、円本の全集目録数種。これなりにおもしろくて、集めている
 人も多いジャンルで、結構安かったのですが、おぢいさんどこふく風。
 小生の後、何を掘り出したので、あろうか?

 追記)背どりと言えば、「死を呼ぶ蔵書」。ベストセラーですが、読みましたか?
    背どりの男が死んで、捜査するのは愛書家の殺人課刑事。これに、刑事を憎む
    ストーカーの金持ちがからんで・・。という話でした。アメリカの古書業界やら
    古書価格が読み取れて結構読ませました。しかし、すごいと思ったのは古書籍商
    が、本を買い取る場合、本当の値段を隠して不当に安く買った場合、それを知った
    売り主は、正当な価格との差額を請求できるという社会的な約束ごとがあるという
    ことです。一部、日本の古書店のぶったくり商法は目にあまるものがありますが、
    「不公平な商慣行」として、逆にぶったたかれる時代がくるかも、知れませんね。

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