背中に荷物を背負うことは、洋の東西を問わず、古くからの習慣にも見られるように、 人間にとって、もっとも合理的に荷物を運ぶことが出来る方法であることは疑いえない事実だと思われます。 しかし、いくら背中に荷物を担ぐとはいえ、重い荷物ほど、うんざりするものはありません。 なるべく荷物は少ないように、これが旅人の基本だと思われます。 例えば、スーツケースは、戸口から戸口へタクシーで移動し、ポーターに荷物を運んでもらうならば、 何といっても頑丈さでは一番でしょうし、中のものも痛みにくい仕様になっていますが、 自分でスーツケースを運ぶとなれば、重くてかさばりますし、 地下鉄やバスに乗って移動するなど至難の技です。
大きな荷物をいかにして持ち運ぶかという視点からパッキングを考えれば、 荷物を運びやすいバックパックに落ち着くのですが、 如何に軽快に旅を楽しむするかという視点からパッキングを考えれば、 日常感覚で持ち運べる必要最低限の荷物の選定という視点が浮かび上がってきます。 荷物が少なければ、それに煩わされることも少なく、 わざわざバックパックを用意する必要もありませんし、 そのへんに転がっている手さげかばんでも、ショルダーバックでも、ナップサックでも十分に用が足りるのです。 大きなバックパックを持っていると、スーツケースほどでなくても、電車一つ乗るのも大変ですし、 通勤ラッシュなどに遭遇すれば、かなりの顰蹙ものです。 それに、歩くにしても、荷物は軽ければ軽いほど、疲労は少なくて済みます。
私の場合は、バックパック(といっても、フレームなしのナップサックですが……)であろうと、手提げかばんであろうと、ショルダーバックであろうと、 まず、持っていく荷物をたいした負担にならない程度のものに厳選し、徹底的に荷物の減量化を行うことにしています。 確かに長期の旅ですと、色々あった方が便利なものも多く、 途中増えるであろう荷物を考慮して、大きめのかばんを持って行こうかという気になることもありますが、 やはり、そのへんは、荷物が重いときの苦しさを思い出して、荷物の減量化に努めることにしています。 現在の私は、たくさんのものに囲まれて生活していますが、 もし仮に、この住居を出ることになり、定住の機会を失うことになれば、 このような厳選した荷物だけで、生活していけるのではないかと思っています。 リヤカー一杯に、あらゆる生活道具を積み込んで、旅を続ける方もおられますが、 確かに、キャンプを張って野宿をする場合ですと、やむを得ない面もあります。 しかし、また、たとえ野宿であっても、快適さが少し犠牲にはなったとしても、 荷物の少ない旅へのこだわりのようなものが生まれつつあります。